nomi 号のキャブレターはウエーバーの 40 DCOE 18 K です。チューンの高いエランでは 45 を用いることもあります。管理人 nomi は勘違いしていましたが、ウエーバー 40 用と 45 用の違いはベンチュリーを取り付ける通路の外径であり、決してベンチュリーのサイズそのものではありません。また、驚くことに、ウエーバー 40 用と 45 用のボディーは同じもので、通路の加工のみ異なっています。従って、ウエーバー 40 用の方が肉厚で重いことになります。
ベンチュリーの大きさは変更できるので、ウエーバー 40 用と 45 用の決定的な違いはどこにあるのか?管理人 nomi は、写真のスロットルバルブの大きさであると思いました。写真左がウエーバー 40 ですが45 用のインシュレーターが付いているの大きく感じます。インシュレーターとの差がおおよそ45 との差と言えます。
写真はエランで良く使われる、ウエーバー 40 用と 45 用のベンチュリーの一部です。写真左がウエーバー 40 用で、右が45 用です。また、写真上段がアウター ベンチュリーで下段がインナー ベンチュリーです。ウエーバー 40 用と 45 用ではインナー ベンチュリーの形はだいぶ異なっています。
この場合のインとアウトは吸入気の流れを中心からみて名前が付いています。中心側がインで端がアウトです。管理人 nomi も大いに勘違いしていましたが、取り付けた状態で見るとアウター ベンチュリーがよりエンジン側にインナー ベンチュリーがより外側に取り付けられます。
インナー ベンチュリーには 4.5 と3.5 があります。違いは写真の矢印が示す、ガソリンの出口の大きさです。勿論、4.5 の方が大きくなっています。チャップマンおじさんはウエーバー 40 用でも 45 用でも、ほとんどの場合、4.5 を使うそうです。また、この部分は斜めに加工されておりエンジン側に向いて開いた形に取り付けられます。写真右の矢印の部分にサイズの記載があります。
アウター ベンチュリーはウエーバー 40 用では 32、34、36 mm 、ウエーバー 45 用では 34。36。38 などのサイズがあります。エンジンのチューニングの度合いによって使い分けるそうです。写真の矢印に大きさを示す数字が浮き文字で示されてています。時には加工して更に大きなサイズにするそうです。
ベンチュリーの収まる場所の径が決まっているので、番手の小さい方が より厚いことが分かります。実際には吸入気の流れがスムーズになるよう滑らかに狭められ、一番狭いところのサイズがそのアウターベンチュリーのサイズとなります。
面白いことに写真左のように、ウエーバー 40 用 と45 用とのアウターベンチュリーを比較すると、エンジンより遠い方の口径はボディーの通路の径に準じて45 用が大きいのですが、エンジンに近い側の径は同じです。
径が大きいほど、高回転でたくさんの吸入気を吸うことができるので、最大の出力は大きくなります。しかし、低速では、吸入気のスピードが遅くなるので、ガソリンの気化にとっては不利になります。
アイドルジェットはスロットルバルブのエンジン側(18番)に開口しています。アイドルジェットは「45 F 8 」のように、ガソリン量を決める穴(Fuel Hole)の大きさ(この場合 45)と空気の取り込み口(Air Hole)の大きさと通路の径(Internal Bore Size)で規定される F ナンバー(この場合 F 8 )で区別されます。チャップマンおじさんは、ほとんど F 8 を使われるそうです。下の写真のようにホルダーにセットして装着されます。
アイドルジェット(矢印 赤)で調整されたガソリンと空気の混合物は、大変長い通路(矢印 黄色)を通ってアイドルミクスチャーアジャストスクリュー(矢印 青)の真下に開口する穴からエンジンに供給されます。アイドルミクスチャーアジャストスクリューのすぐ手前に次に述べるプログレッションホール(矢印 白 P )があります。
アイドリングフィードホール(矢印 青)はスロットルバルブのエンジン側に開口しています。スロットルバルブが少し開くとプログレッションホール(矢印 白)の開口部が現れます。このように、スロットルバルブの開閉の状態もキャブレターの機能に重大な影響があり、キャブ調整のポイントだそうです。
メイン系はエマルジョンチューブを中心に、頭にエアーコレクタージェット、尻尾にメインジェットを接続した構造になっています。空気を上から、ガソリンを下から吸い込み、エマルジョンチューブの中で混和して、まさにエマルジョンとなった混合物をインナーベンチュリーの出口へ供給します。
指でつまんでいるあたりがエマルジョンチューブホルダーです。 チャプマンおじさんは、エマルジョンチューブの選択では F 11 を勧められます。
こんな小さな部品でエンジンの性能がコントロールされています。写真は広島オフでこうじ号と den-36 号のキャブ調整の時に撮らせていただきました。
エマルジョンチューブからの混合物を吐出する穴(矢印 赤)を内側から見ています。この穴がインナーベンチュリーの出口につながります。さらに、奥にポンプジェトの穴(矢印 黄色)も見えています。
アクセルを戻すバネの力で、ポンプ オペレーティング スプリングが引き伸ばされ、チャンバーにガソリンが吸われ写真 B 左のような準備状態になります。次にアクセルを踏むとポンプ オペレーティング スプリングが縮む力で写真 B 右のようにポンプが作動します。一回の踏み込みでチャンバー一杯分が注入されます。従って、ポンプ オペレーティング スプリングの力、回路途中のバルブの機能、ポンプジェットの大きさなどが性能に大きく影響することが分かります。
写真左の矢印 黄色はコントロール ロッド、矢印 赤がポンプジェットの場所を示します。ポンプジェットには写真のようにアルミのワッシャーが付いています。注意が必要です。
ステンレス製の同調プレートです。インシュレーターはゴム製のリングが一般的かも知れませんが、チャップマンおじさんは狂いの少ない、ベークライト板を使います。
(その2) に続きます。