2003年1月20日の夕方、チャップマンおじさんから 「エンジンをばらすけー 見においで。」と電話。仕事を終え、大急ぎで30万画素のデジカメを持ってサンワ自工へ。作業が進み「わるーないよ。」と一言。一安心。ブロックのキャストナンバーは 681F - 6015 LB、無理なボアアップはできません。ロータス ツインカム エンジン用では 701M ブロックが最高です。nomi 号ではボアアップの予定はありません。
ある日、前オーナーの N 氏曰く、「 カムカバーを磨かにゃー。 」。チャップマンおじさん曰く、「 ちょっとやっといたでー。 」。鏡面仕上げへの挑戦が始まりました。(多少脚色あり。)右が完成図です。元は赤のカムカバーですが、そもそもオリジナルではないと思われ、また、鏡面が綺麗なので色は塗りません。
初めての作業なので一からやり方を教えていただきました。BB さんには耐水ペーパーをたくさん譲っていただき、今でも使っています。
今度は少しむずかしい、フロントカバーに挑戦です。ロータス ツインカム エンジンのアキレス腱であるウオーターポンプは新品に交換です。作業精度を増すため、プロクソンのリューターをヤフオクで購入しました。
このリューターは後に大活躍します。使い過ぎてベアリングがダメになり、メーカーに送って交換してもらいました。
nomi 号のヘッドはプラグサイドにリブのないタイプでした( M 2 ヘッド)。当然ながら素人にはポートや燃焼室は触れません。( B )では背景にレストア中のポルシェ 356 しかも貴重な pre A が写っています。休日にサンワ自工に出勤し、このセットアップで作業を少しづつ進めました。某ゴム会社の若社長 Ya 氏(”スーパーライト”さん)曰く、「機械工学的にも鏡面仕上げは表面強度のアップになるよ。」。彼は工学部出身なので信用します。見えないところも頑張ります。やさしい Yo おじさんが手伝ってくださいました。
この作業は本来は不必要ですが、エンジンの構造を知るのにとても役立ちました。愛着も強くなります。ロータス ツインカムでは、当時の技術的問題と思われますが、砂型のつなぎ目は平気で1 mm 程度ずれています。勿論、中身はずれていないはずですが---。
燃焼室側は圧縮比アップのため 0.8 mm の面研をしました。
nomi 号にはチャップマンおじさんのセブンから140馬力仕様のピストンとカムが移植されます。ケンドール オイルのおかげでピカピカです。
ピストンは”マーレー(Mahle)”製のチューニング用ピストンだそうです。コスワースのピストンリング(ノーマルより薄い)しか合わないそうで、かなりのハイ パーフォーマンスが期待されます。写真の黒はノーマルのピストンです。チューニング ピストンは燃焼室に少し突出しており、バルブの逃げも大きく切ってあることがわかります。圧縮比が高くなります。表面にはテフロン加工が施されています。
カムはノーマルのカムを作用角 296°に加工したものだそうです。拡大写真で、カムの山が低く丸い感じ(左)が加工カムで、尖った感じ(右)がノーマルのカムです。これ以上の加工は無理で、さらなるチューニングの為には初めから作り治す必要があるそうです。
この表は、管理人 nomi が集めた今でも手に入るロータスツインカムエンジン用のカムのプロフィールを纏めたものです。左下(sprint カムなど)がノーマルで右上に進むほどレース用になると考えていいと思います。nomi 号のカムはリフトはノーマルなので L2 と呼ばれるカムに近い性能と考えられます。QED360カムに人気があります。少しチューニングの高いエンジンではQED420 または L1 カムが好まれるようです。B---のカムはバートンパワーから出ています。
リフトが9 mm を越えると、ピストンにリセスをつけないとバルブがピストンと当たる、すなわち、何らかの改造が必要です。また、開度が300度を越えると街のりでは苦しいそうです。
バルブはもともと、ロータス純正のビッグバルブ用が軽量化加工の状態で使われており、今回はそのまま使用します。写真奥がインテーク側、手前がエギゾースト側です。
バルブの拡大写真です。ノーマルはほとんど窪んでいないそうです。かなり削ってあることがわかります。チャップマンおじさんのバルブ周りのチューニングのポリシーは、「カムのチューニングの度合いが高くなっても、バルブそのものをできるだけ軽くして、バルブスプリングはできるだけ柔らかいものを使う。」のだそうです。経験に裏打ちされた言葉で、素人にも理にかなったポリシーだと思われます。
フライホイールは 20 %の軽量化を行いました。フライホイール裏が削ってあります。チャップマンおじさんのセブンのフライホイールはクロモリ製で超軽量です。現在は販売されていません。10人くらい集まれば特注で作れるようです。皆さんいかがですか?フライホイール表の矢印はバランス取りのために削られた跡です。 コンロッド、クランク、ピストンなどとバランス取りと、表面のテフロン加工をしましたが、他はノーマルなので、レブリミットは 7000 rpm です。純正のレブリミットは 6500 rpm 程度です。私には十分です。コスワースの BDR エンジンの指示書を訳したことがありますが、クランクなどがノーマルの場合、レブリミットは 6250 rpm となっていて意外に低いのに驚いたことがあります。これらの加工は、鈴鹿のバイクのレーサーを作製している某工場に依頼しました。
中太さんのエランのオーバーホールを見させていただき、フルカウンタータイプのクランクを拝まさせて頂きました。ロータスツインカム用にはハーフカウンタータイプもあるようです。更には、コンロッドも強化され、ジャーナルの薄いタイプもあるようです。奥が深いです。
まだまだ続きます。(その2) へどうぞ!